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2007年11月23日 (金)

せつない話

19631412  久しぶりに村上春樹の『国境の南、太陽の西』を再読しました。

 たぶん、前回読んだのは4年前くらいだと思います。読んでいるうちに、「そういえば、こんな話だった。」と思い出したりもしたのですが、結末がなんとなく思い出せないまま読んでました。

 先日、最後まで読みましたが、なんともせつない話でした。

 はじめの方は主人公の”僕”が小学生のときに、転校して近所に住んでいた島本さんと出会い、心を通わせていくようすが描かれています。それもちょっぴり村上春樹らしく、小学生なんですが二人でクラッシックを聞いたり、ナット・キングコール(”国境の南”というタイトルはナットキングコールの曲からきてるようです。)やビング・クロスビーのレコードを聴いたりして過ごすんです。淡い恋心のまま、中学生になって学校が違ってしまったことからなんとなく疎遠になって、そのまま大人になるまで会わずじまいになってしまいます。その後、会わなくなってしまったことが間違いであったことを”僕”は気づくのですが、時はどんどん過ぎていきました。

 高校生の時の恋人イズミや大学生活、社会人になってからの生活が描かれ、妻となる有紀子と出会い30歳で結婚します。島本さんのようなとびっきりの美人ではありませんでしたが、”僕”は彼女に”理不尽なくらい”引かれ、彼女の顔だちの中にはっきりと「自分のためのもの」を感じることができたそうです。幸せに暮らし、娘も二人でき、義父の資金援助を受け、青山のバーをオープンして、経営も順調で、不自由のない生活を送っていました。

 青山のバーが雑誌に載ったことをきっかけに同級生たちが何人か訪れ、少し経ってから島本さんがそのバーに現れました。

 それからがこの話の核になるわけですが、この先は読む方もいると思うのでやめておきましょう。うー、気になるでしょ。読んでください。

 ”僕”はひとりっ子で、島本さんもひとりっ子で、初めて”僕”が必要だと思い、彼女も”僕”を必要としていたわけで、”僕”が初めて愛情を感じた人でもあった訳で、そんな人と再会したら、心が揺さぶられずに済むわけがないわけなのですが....。二人にはあまりにもその間に時間が経っているわけなのですが....。なんとも切ない話です。

 4年前に読んだ時はこんなに切ない話だとは感じなかった気がします。なんとなく、村上春樹のわりにファンタジーに入りすぎず、リアリティがある話だという印象はあったのですが...。自分がこの4年の間に少し大人になったせいか、人を愛することというのをより深く理解したせい(ちょっと言いすぎ..?!)か、今回は強く伝わってくるものがありました。

 それにしても、”僕”が島本さんとの思い出を語るときに、行間に温かさや優しさに溢れているのです。村上さんらしいなと思ってしまいました。それがなおさら、せつなさを強くさせるのかもしれません。

 ぜひ、読んで。

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