« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »

2008年10月26日 (日)

大人な映画

 ここのところ、TSUTAYA Discasで見たいDVDがあまりなかったので、1か月ほど休会していたのですが、見たいものが先日リリースされたので、また会員に戻りました。

Paris  さっそく借りたのは『パリ、恋人たちの2日間』と『ジェインオースティンの読書会』。二枚とも、とっても大人な映画でした。

 まずは『パリ、恋人たちの2日間』(あらすじはこちらで)は、映画『Before Sunset』『Before Sunrise』でイーサンホークと主演したジュリー・デルピーが監督・脚本・編集・音楽・出演というのも見どころ。女ウッディ・アレンというも聞かれる昨今の彼女。(ちなみに私はウッディ・アレンも大好き)

 ニューヨークに住んでいるフランス人の彼女とアメリカ人の彼がベネチアを旅した帰りにパリの彼女の実家に預けた猫を取りに寄るというシチュエーションで始まるこの映画。ロードムービー的な電車の風景から始まるのも感じがいいし、パリの風景もやっぱりいい。かしましく、皮肉屋で陽気な彼女の家族たち、変なとこに神経質なアメリカ人の彼、フランス人とアメリカ人というだけで、考え方違うんだろうなと思ってしまうけど、このカップルも御多分に洩れず、まったく違う考え方の持ち主。彼女の生まれ育ったパリに来て、かつての恋人やら男友達に会ったりして、いままで彼が直視してこなかった彼女の過去の、奔放な恋愛遍歴を目の当たりにして、衝突したりする二人。そんなストーリーなんだけど、なんだか映画そのものの空気感みたいなものがよかったです。ジュリーの脚本、主演らしく、会話もシチュエーションも音楽も実によく練り込まれたつくりになっていて、彼女の才能を感じさせます。

  私事ですが、先日暇潰し程度に読み始めた雨宮塔子さんの『金曜日のパリ』と『それからのパリ』で、簡単に言えば、成熟した大人社会のフランスについて読んだあとだったので、なおさらジュリーが演じる彼女のフランス人らしさを感じてしまって、クールだって思ってしまったんだと思います。まさに大人な映画です。 

Jein もう一つは『ジェインオースティンの読書会』(あらすじはこちらで)。ジェインオースティンの書いた6冊をそれぞれ担当しながら1ヶ月に1回ペースで読書会を行うことにした6人。

 離婚を繰り返す人、長年連れ添った夫に別れを告げられる人、友人の世話焼きばかりで自分はなかなか恋愛に踏み出せない人、レズビアン、生徒に恋してしまう高校教師という女性陣に、唯一の男性グリッグは女姉妹の中で育って、エコとSFを愛する青年。読書会とともにそれぞれの問題が進展していきます。

 ジェインオースティンの作品については会話の中にさらっと出てくる程度ですが、読書会の最終回のテーマになっている『説得』はこの映画の結末に重みを添え、伏線にもなる存在です。なので強いて言うなら『説得』の内容は知ってたほうがより楽しめるかもって、個人的には思いました。

 この映画で、私はグリッグ♂に注目しました。彼はエコを愛するだけあって、車には揚げ油を使い、主に移動は自転車。初対面の顔合わせに、サイクリストご用達のパールイズミのピタピタウェアを着てマイタンブラー持ってスタバにあらわれちゃうとこが、ちょっと場が読めてなくて、サイクリストらしさを醸し出してて(こんなことを書くのは、私が元サイクリストだからなんですが…)、まじめないい人なんだろうなと思わせてしまうキャラなんですよね。そういう、細かいところの設定も、最後の『説得』の話になぞらせた手紙だったり、説得によるハッピーエンドへの持ってき方も良かったです。だいたい読書会というのが大人の成熟した娯楽という感じでいいです。

 どちらの映画もたぶん万人受けではないけれど、私が愛する大人文化そのものって感じで、とても良かったです。


| | コメント (5) | トラックバック (0)

2008年10月15日 (水)

誇り高き”あぽやん”

Apoyan_2  今年の春出版されたばかりの”あぽやん”を読みました。

 APO。旅行業界では空港のことをスリーレターでAPO(私たちはAPTともっぱら書き言葉で使ってたけど。)といい、そこで働く人たちを”あぽやん”というとこの本には書いてあります。

 私が勤めていた旅行会社は小さくて、空港業務は外注だったので、そういう言葉を使ったことはありませんが大手の旅行会社では空港業務を自社でまかなうところもあるので、そう使うのかもしれません。

<quotation> ツアーの出発点となる空港で、様々なトラブルを排し旅客を無事に送りだす空港のエキスパートを、賞賛を込めて呼んだのが始まりのようだ。

  社内での位置づけや、金を生み出さない現場軽視から、最近では閑職の意味合いが濃く、本社では使えないというような意味合いも含まれる悪い意味で使われるようになったようです。

 そんな”あぽやん”に、異動でなってしまった入社8年目の主人公遠藤君の奮闘と、少し恋バナを書いたお話で、なかなか面白いです。遠藤君の周りには、「笑って、笑って」が口癖で、いまいちだらしのない雰囲気の今泉、クールで口数少なめ、仕事以外に予定のなさそうな田波、元板前でお客様は家族だという堀之内、物静かでダンディーな住田所長、空港を彩り支える女性スタッフ。

 空港では、いろいろな問題が発生します。予約が落ちてたとか、いつも出発しないのに予約するお客さんだとか、やくざまがいのお客さんがいたりとか、本社や取引会社の説明不足や丸投げでお詫びするはめになったり。でも彼らあぽやんは、本社よりも、お客様重視で、お客様に笑顔で出発してもらえるように、粉骨砕身で頑張るんです。

 結構笑えることが多いのですが、とってもヒューマンで、そうそう空港ってそういうところだよねって、思うんです。それはいくら、コンピューターでなんでもできるようになっても、やっぱり旅に出るのは人間だから。Eチケや自動チェックインが導入されても、それがすべてではないんですよね。

 たしかに、大手の旅行会社の添乗を請け負っていた頃、関連子会社、空港所の所長と出向する人たちを見かけたし、どうみても所長じゃないけど、空港の仕事、長そうだっていう中年のあぽやんを見かけました。おおむね女の若いスタッフが多い中で、そう遭遇することは少ないけど、あぽやんって言うと彼らのイメージと重なるものがあります。 

 たしかに、旅行業は儲からないし、給料も良くないけれど(それを理由にして辞めて行った人も結構いるけど)、それでもそういう仕事を愛する人がここにもいるんだと思って。旅行業では、あぽやんも添乗員も最終ランナーで、誰かに代わってお客様に頭を下げなきゃいけない時も多い。悔しい思いをする時も多いけど、やっぱりお客さんにいやな思いで旅をしてほしくないというのがあるんですよね。”あぽやん”を読んで、ここにもそういう人がいたと思って、嬉しくなりました。(営業は営業で、ケチがついた旅行にならないように細心の注意を払って、仕事してこれも大変なんですが。)

 自分の仕事に誇りを持つということを、改めて感じた気がします。誇りを持って、仕事してる人はかっこいい!

 旅行業界に関係なくても、”あぽやん”は読んで楽しめるお話です。

 

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年10月13日 (月)

夏に聴きたかった1枚

  先日、日経新聞の日曜折込に入る”THE NEKKEI MAGAZINE STYLE ”で、”ロバート・ハリス氏おすすめドライブミュージック10選”というののなかに、”郊外ドライブ編”としてマリーザ・モンチの『UNIVERSO AO MEU REDOR』が入っていました。以前から気になっていたので、早速買いました。

200810121123000_3  マリーザ・モンチはブラジルの国民的歌手で、ボザノバというよりも(ボサノバはブラジルでいうと、ちょっと古典な感じなんで)、もっと現代的でポップなイメージの人だと、ブラジル好きで、ブラジルにも何回か行っている友人は言ってました。

 この1枚、とっても夏らしい南国のテーストが含まれていて、聴いていて心地よく、まったく毒がないんです。あー、夏に聴きたかった、って思わせる1枚です。

 先日、コロンビアの作家の書いた『コレラの時代の愛』という本を読み終わり、次はライトなものをということで、『スワンソング』という大崎善生著の本を読みました。ライトなタッチかというと読みやすいものの、そういう感じではありませんが、なかなかいい本でした。彼の書く、淋しさと切なさを感じる文章が好きです。

 ブラジルつながりで.....その『スワンソング』の中で、”アルマジェミア”というブラジル語が出てくるんです。意味は”双子の魂”。

Swan  この本の中では、ブラジルの言い伝えで、人間は生まれてくる前は男女が一対で、双子の男女だったはずが、生まれる時に離れ離れになってしまう。人の一生のうちの多くの時間を費やして、その双子の片割れを探す。うまく巡り合えれば双子の魂は合体する。それが完全な恋だと書かれているんです。

 ”アルマジェミア”。素敵な話だなって思います。それに、不思議にそんなことを感じる時ってありますよね。1度は経験したことがあるのではないでしょうか。

 ブラジルの音楽を聴きながら、またもやブラジルに思いを馳せた私です。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月 9日 (木)

オーヴェール・シュル・オワーズの思い出

 ふと思い出してみれば、去年の10月9日はフランスのパリ近郊のイルドフランスのツアーに出発した日でした。そんなことを思い出して、書こうと思います。私が好きな芸術家は1800年代後半から1900年代初頭を生きた人が多く、特に作品から、その人の苦悩の人生が見え隠れするような人が好きです。たとえば、モディリアーニ、スーチン、そしてゴッホは作風といい、絵が彼らの人生を物語っているようで、とても好きな画家たちです。

 書こう書こうと思いつつ、オーヴェール・シュル・オワーズのことを書かないまま、月日が過ぎていたのでした。そのイルドフランスのツアーで、いろいろと印象に残るところは多いのですが、このパリの北西、電車で1時間のところにある、セーヌ川の支流オワーズ川のほとりのオーヴェール・シュル・オワーズと画家シスレーが愛した街として知られるロワン川のほとりにあるモレ・シュル・ロワンは特に印象に残っています。

 話をオーヴェール・シュル・オワーズに戻しますが、画家ゴッホが37歳の若さで拳銃自殺をしたところでもあり、その亡くなる前の約2か月を過ごしたところです。

S_ravoux_2  ツアーのスタートはゴッホが下宿したラヴー亭でした。正面はバスを降りてすぐだったので、写真におさめる暇がありませんでした。なので、左の画像は絵ですが、ほぼ今もこのままでした。この屋根裏部屋にゴッホが住んでいました、今は簡易ベットなどがおかれた部屋とゴッホについてのスライドショー(日本語あり)のスペースとして使われています。部屋は狭く、薄暗い感じでした。壁や家具などはあくまでも再現なのですが、薄暗いのはその時代と変わらないと思います。部屋の下の階に売店もあります。

S_caffe  1階(現地では0階)は現在はオーヴェルジュ・ラヴーという名でカフェ・レストランとして営業しています。味もよく、地元の人気店のようです。

 ラヴー亭をでて、ゴッホの描いた”オーヴェールの教会”に行きました。この絵は、ここS_ch に来る前にすでに、見たことのある絵でしたが、実際の教会をみると、とても感慨深いものがありました。だって、そのままなんですもの。

S_gogh  そのあと、”烏のいる麦畑”を通り、ゴッホと弟テオの眠る墓地を見て回ったのですが、意外にもこの”烏のいる麦畑”を描いたとされる、麦畑が一番印象深かったです。亡くなる前のゴッホも画材を担いで、この舗装もされていない、荒涼とした畑の道を歩いたのだろうかと考えると、私の中にも熱くなるものがありました。 

 私がこの畑を訪れた時には、すでに麦はなく、ただただ土がむき出しになった畑でしたが、あの”烏のいる麦畑”の絵、そのままのところだったんです。20071009_ile_de_france_051_2

 オーヴェール・シュル・ロワーズにはゴッホの主治医だったガシェ医師が住んでいました。彼は絵を書く人でもあったので、多くの芸術家との交遊があったようです。

 また、この町はゴッホ以外にも、ドービニー、コローや彫刻家ザッキン(ザトキン)などが創作活動を行ったところでもあります。

 いまはそれらの芸術家が描いた場所にその絵を入れた立て看板があり、観光しやすく整備されています。

 ついこないだのことのようですが、もう1年経ってしまったんだと我ながらびっくりします。とても素敵なところだったので、パリ近郊に行く時間があれば、ぜったいオススメだと思います。ゴッホを肌で感じられる、数少ない場所なのではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月 7日 (火)

いま、オフコースを聞く

I  ひさしぶりに、急にオフコースを聞いてみたいと思って、以前買ったオフコースのベストアルバム、Off Course[ai]をだしてみました。小学生の頃、ほぼ毎日聞いていたのは、サザン、ユーミン、オフコース。でも、以前もブログに書きましたが、オフコースファンというのがカッコ悪いと勝手に思い込んでいた中学・高校を経て、その後オフコースは解散していたので、戻るきっかけが見つからないまま大人になって、小田和正さんの活躍でもう一度、オフコースを聞いてみたくなった私です。

 一番聞いていた小学生の頃、レンタルレコードショップで片っぱしから、オフコースのLP盤を借りたんですよね。まだ小田さんと鈴木さんの二人だけの時の頃のものなんかも、よく聞きました。ベスト盤には入らない”冬が来るまえに”って曲は大好きでした。

 子供ながら、オフコースの曲の中でどの曲が好きかって、真剣に考えた時もありました。”さよなら”とか”YES-YES-YES”あたりはメジャーで、好きだけどそんなべたな答えはしたくないので、”ワインの匂い”とか”心 はなれて”なんて、聞かれると答えたり、小学校の卒業のサイン帳には書いたような気がします。

 片っぱしから借りたLP盤は、その時代なので(80年代)なので、みんなカセットにダビングしたので、押入れの奥のほうを捜せば、今でも出てきますが、カセットデッキも今はないし、聞くことができないんです。

 いまさらながらでも、オフコースを聞くと、不思議と歌詞が歌詞カードなんてみなくても、すらすらでてくるんです。小学生の頭は柔らかいから、吸収がよかったんだなーって、改めて思います。(笑) でも、この30代の半ばに来て、よくわかる大人の心情というのが、歌詞によく描かれていると気づくんですよね。

 だから、”眠れぬ夜”(たしか西城秀樹さんが歌ってたと思うんですけど...)なんて、これもつらつらと歌詞が出てくるんですが、どんなことを歌っているかなんて、小学生の私はたぶん大まかにしか理解してなかったと思います。

 一番の歌詞では  <quotation>

 たとえ君が目の前に ひざまづいてすべてを 忘れてほしいと 涙流しても

 僕は君のところへ にどとは帰らない あれが愛の日々なら もういらない <中略>

と歌い、ちょっと切り替わる様な、リズムが入って、二番の歌詞では

 それでもいま君が あの扉を開けて 入って来たら 僕には分からない

 君のよこを通りぬけ 飛び出してゆけるか 暗い暗い暗い 闇の中へ

 眠れない夜と 雨の日には 忘れかけてた 愛がよみがえる

ですよ。ちょっと、小学生にはよく理解できてなかった思うんです。

 私が好きな曲とあげた”心 はなれて”だって、こんな歌詞なんです。

<quotation>

  いちばん 哀しかった あの日さえ かがやいている やがて ひとり 窓の外は冬

 ふたりで追いかけた 青い日々がこぼれていく やがて ひとり 窓のそとは冬

 これも、たぶん心情は理解できてなかったと思います。でも、一つ思ったことは、オフコースの曲って、季節を歌ったものが多くて、”秋の気配”とか、”僕の贈りもの”とか”夏の終り”とか、他にもたくさんありますが、そんな中から、子供ながらに季節というものの趣きというのを感じ取っていたんだろうと思います。

 良しも悪しきも、私は結構季節というものに拘るし、影響を受けやすいというのもここら辺から来てるんではないかと改めて思ったのでした。

 ほんと、今はオフコースの歌詞が心に沁みます。そんな、大人になりました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »